どうも皆様。
清水愛と申します。
はじめましての方ははじめまして。
二度目以降の方につきましては、いつも読んで頂きありがとうございます。
では本日もゆるゆると始めて参りましょう。
本日は相当長文で御座います。
皆様、御覚悟の程は宜しゅう御座いますか?
先日、思い立って禁煙をした。
禁煙三日目が非常に辛いとツイッターで励まされながら、
実際に三日目は厳しかった。
普段「吸いたい」という気持ちに苛まれることなどないのにも関わらず、
あの時だけは無性に吸いたいと思った。
「ああ中毒ってこういう事ね」
と布団の中で苛まれながら思ったものだ。
閑話休題。
最近ではオカン属性やら、おばちゃん属性やらがついた私だが、
昔はもっと違う名前で呼ばれたものだ。
「恋愛中毒」「恋愛体質」「男が居ないとダメな女」
…否定はしない。
事実そうであったから。
そうしたのは、たった一人の男。
そう、たった一人。
今日はその男の思い出を話したいと思う。
寒い日だから思い出すのだから。
一人、私が十年想った男が居た。
二十歳から三十歳になるまで。
そして、その間で実際に彼の肌に触れたのはたった四回。
それで十年想い続けたのだから我ながら凄いと思う。
もう執念と言ってもいい。
よく私が戯れに「年増の深情け」なんて言うが、
それも真っ青になって逃げだす程の執念。
こればかりは六条御息所にだって負けないと思う。
今になって考えれば、バカ野郎と己の頭をぶん殴りたくなる。
その男に関わるな、と。
もっといい男が目の前にいるぞ、と。
だがその時の私は、兎にも角にもその男を欲した。
熱病のような恋に浮かされながら。
正しく「渇望」したのだ。
喉が渇いた人が水を欲するように。
何がそうさせたのかはわかっている。
恋愛の初期によく起こる、不思議なシンクロニティ。
それが立て続けに起こってしまった。
私は彼を「完全」に理解したと勘違いしてしまった。
彼も私を「完全」に理解してくれたと勘違いしてしまった。
そして、「私が居なければこの人はだめなのだ、私が救わなくては」と。
あろうことかメサイアコンプレックスまで引っ張り出してしまったのだ。
だが、メサイアコンプレックスを引き出してしまったのは私だけではなく…。
彼も同じように引き出してしまったのだ。
その行きつく先はもう見えているだろう。
「共依存」だ。
互いにとってなくてはならない関係に成ったのだ。
非常に悪い意味で。
今となっては疑問なのだが、私は本当にひと時でも彼を想ったのだろうか?
あの十年は単なる共依存の一形態だったのではないか?
……まぁ、その答えは今も出ないのだが。
おまけにその過程として、性癖を開発されてしまった。
彼は征服者として、私は隷属者として。
それ以降、私は愛玩されるものとして彼の元に居た。
彼に言われるままに他の男とも寝たし、
彼の命令ならば何だって聞いた。
社会的にまずい事だって出来たし、嬉々として報告もした。
強請られるままに金を差出し、気が付けば借金の連帯保証人に。
自分の身と心と社会的信用を傷つけながら生きていた。
だが、そんな熱狂的な時間も、覚める瞬間がやってくる。
先に覚めたのは私の方だったようだ。
少しずつ彼の隷属から離れ、他の男に目を向けだして、鞍替えした。
会ってくれて、愛してくれて、私を大事にしてくれる男に。
そこからしばらくの私は酷かったように思う。
本当に、男が居なければ、誰か想う相手が居なければ、
動くこともままならないような状態だったのだ。
それでも、彼からメールが来れば嬉しかったし、
通話があれば嬉々として出たのだが…。
完全に夢から覚めたのは、今から六年前。
平成23年10月。東日本大震災があってから約半年経った頃だ。
彼はあの震災の日、被災地…仙台に居たのだ。
その時には私を想ってくれる人も被災地に居たのだが、
その人は震災から一日で何とか無理やりにでも連絡をくれた。
安心したのも束の間、彼からの連絡は待てど暮らせど来やしない。
生死不明。
その時病院に入院していたはずだったのだが、
何処を調べても分からない。
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて…。
涙も枯れた頃、涙と一緒に想いも消えていた。
冷たい奴と思って頂いて結構だ。
本当に、綺麗さっぱり流れてしまったのだから。
それから半年後の10月。丁度今頃だったはずだ。
彼からのメールが一通。
「生きてるよ」
何の情動も起こらなかった。
何と返したか覚えてはいないが、
丁度お付き合いを始めたばかりの夫に報告した様な気がする。
十年見続けた夢は、あっさりと覚めた。
昔はよく思い返したものだが、最近はその機会もめっきりと減った。
会うこともままならず目に焼き付けた写真の顔と、
電話越しに聞こえる声だけは、はっきりと覚えているんだけれども、ね。
「愛してる、アイ」
私が欲しくて欲しくて堪らなかったその台詞だけ。
「アイはホントにバカだなぁ」
無邪気に笑いながら私を構う台詞だけ。
その二つだけはやけにはっきり覚えている。
きっとその二つだけは忘れないんだろう。
若かった自分への戒めとして。
今日はここまで。
では皆様、どうぞ次にお会いするまで御機嫌よう。